Web3.0とは?新しい時代のインターネットを味方につけよう

創業手帳

次世代インターネットWeb3.0でビジネスの多様化が進む


Web3.0は、分散型インターネットとも呼ばれ、次世代インターネットとしてスタンダードを担っていくと考えられます。
また、Web3.0が普及すれば、今ある商品やサービスも大きく変わると予想されています。

Web3.0をきっかけにして、今までITと関わってこなかった企業も方向転換するかもしれません。
自社の事業や提供しているサービスとのかかわりや発展性、投資など様々な観点でWeb3.0について考えてみてください。

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Web3.0の概念


ITに関わる用語は、技術革新や時代の変化に合わせて次々と生まれています。
最近では、NFTやメタバースといった言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

今回紹介するのは、多くの企業や人が注目しているWeb3.0です。
ECに携わっている人や、これから新しい事業に乗り出す人、マーケティング戦略を必要としている人に知ってほしいWeb3.0についてまとめました。

Web3.0とは

Web3.0とは、次世代のインターネットで「分散型インターネット」と称されます。
Web3とも呼ばれており、聞いたことがある人もいるかもしれません。

現代では、老若男女を問わずインターネットを利用していますが、その多くはGAFAMと呼ばれる巨大企業がかかわっています。
GAFAMは、「Google」、「Amazon」、「Facebook」、「Apple」、「Microsoft」の頭文字を取っており、ガーファムと呼ばれます。
多くの人が上記のサービスを利用して検索や買い物をするなど日常的に使用していますが、これらの巨大企業が世界中の人の個人情報や利益を囲い込んでる状況です。
そこで、情報を分散して管理し、巨大企業の独占から脱却を目指すのがWeb3.0です。

Web3.0までの流れ

Web3.0は、Web1.0とWeb2.0の次に来るインターネットとして名づけられました。これまでのインターネットは、Web1.0とWeb2.0とに分けられます。
インターネットの黎明期といえるWeb1.0は、人によっては懐かしく感じるかもしれません。Web1.0とWeb2.0のそれぞれがどのような時代なのか紹介します。

Web1.0の時代

Web1.0の時代は、インターネットが普及しだした1990年代のWebです。当時はコンテンツがHTMLで作成されていてテキストが主体でした。
回線の速度も今よりも遅くて大きなデータのやり取りは困難であった時代です。
当時のインターネットは、コミュニケーションの側面でも現代とは違います。
ユーザーは情報を得ることを目的にインターネットを使用していて、発信側となるのは数少ない限られた人でした。
個人でホームページを作成する人も限られていたため、情報の発信側と受信側が固定されている時代といえます。

Web2.0の時代

Web2.0の時代は、2000年代の半ばころからを指します。「YouTube」や「Twitter」など今でも人気を誇るコンテンツがWeb2.0の時代に生まれました。
これらのサービスの利用を可能にしたのが、通信速度の高速化です。
情報のやり取りがスムーズになり、インターネットを通じた相互のコミュニケーションも取りやすくなりました。

容量の大きなデータがやり取りできるようになったことで、動画サイトが増加したほか、ユーザーも独自で発信するようになりました。
ユーザー同士が気軽に交流できるようになって、SNSが普及したのもWeb2.0の時代です。
様々な物やサービス、情報がインターネットでつながるようになって、私たちの生活が便利になり、誰でも発信者になって画像やコンテンツをシェア、世界中の人とつながれるようになりました。
しかし、サービスの提供者に情報が集中してしまうため、セキュリティや個人情報の管理、巨大企業による利益の独占が課題です。

Web3.0が注目される理由


インターネットの変遷は技術やコミュニケーションのあり方、社会の変化を表しています。
どうして、Web3.0が注目されるようになったのか、その理由を紹介します。

個人情報への意識の高まり

私たちの生活にインターネットは欠かせない存在です。
普段の買い物はもちろん、ネットバンキングや行政手続きにもインターネットが使われるようになりました。
生活でインターネット使われるようになった結果、個人情報やプライベートへの関心がより高まっています。

例えば、インターネットなどのサービスを利用するために、名前・メールアドレス・住所などの個人情報を入力するのは当たり前のこととして行われています。
しかし、その企業が事故や不正な個人情報のやり取りで情報を漏えいするリスクと隣り合わせになっている状況です。
消費者も利用するサービスごと、会社ごとに個人情報を登録するため、どこの会社が自分の個人情報を持っているのか把握していないケースも多いでしょう。
自分の個人情報を守るため、また、悪質な業者による利用を避けるため、できるだけ個人情報を登録したくないと感じる人も少なくありません。
Web3.0は、個人情報を使ったアカウントの作成は不要です。仮想通貨で買い物するサービスさえ登録しておけば、ほとんどのサービスを利用できます。

企業に個人情報を渡さなければ、そもそも漏えいするリスクもありません。

技術の進歩

Web3.0は、技術が発達したことによって実現にこぎつけたといえます。Web3.0、つまり分散型インターネットには、ブロックチェーン技術が欠かせません。

ブロックチェーンによって分散管理することで、Web2.0が抱えていた課題を解決しています。
ブロックチェーンとは、情報を暗号技術で鎖のようにつなげて、履歴に残す技術で、ブロックチェーンの登場により情報の改ざんや破壊が極めて困難となりました。

ブロックチェーンの活用法として知られているのが、仮想通貨を取り引きした履歴の管理です。仮想通貨をやり取りした時の履歴は、ブロックチェーンによって記録されています。
ブロックチェーンは、特定の管理主体が情報を管理するのではなく、それぞれの複数のシステムが情報を保有して同期する「分散型台帳」で管理される点も大きな特徴です。
Web2.0までは、企業のサーバーに情報が一元管理されていましたが、Web3.0からは情報を分散して管理するため、個人情報漏えいリスクを抑えてサービスが提供・利用できます。

仮想通貨の普及

仮想通貨の普及も、Web3.0が注目される要因となりました。Web3.0でのお金のやり取りは、仮想通貨を使って行われます。
現状では日本で仮想通貨が一般的といえるまで普及はしていないものの、仮想通貨を保有している、仮想通貨で取り引きしたことがある人はこの数年に飛躍的に増えてきました。
今後、仮想通貨が当たり前に使われるようになれば、Web3.0の普及にとっても追い風になるでしょう。

個人が尊重され国境や人権に制限されない時代へ

Web3.0であれば、国境や人種に制限されることなく、様々なサービスを使えます
日本では、個人が自由にインターネットを利用できますが、世界に目を向けると、検閲システムで政府に特定のサイトの利用が禁止されている国もあります。

しかし、インターネットの発展により、多くの人が世界中の人とのやり取りができるようになったため、国家が情報を制限することは時代にそぐわなくなりました。
Web3.0を使えば、検閲システムのような制限は機能しません。誰しも自由に好きなサービスやサイトにアクセスできます。

Web3.0でもたらされるメリット


Web3.0になることで様々なメリットがありますが、Web3.0の普及は、社会や私たちの生活にどのような変化を起こすのでしょうか。
Web3.0でもたらされるメリットをまとめました。

誰でも自由に希望するサービスにアクセスできる

Web3.0であれば、希望する人が誰でも自由にサービスにアクセスできます。国境や人種に関係なく利用でき、さらに、ブロックチェーンへの参加にも制限がありません。Web2.0とは異なり、Web3.0は非中央集権型のシステムであるため、誰かがその権限で情報を制限したり、禁止したりできなくなっています。

特定のOS問わずアプリを使用できる

今まではアプリの利用といえば、「Android」や「iOS」などのOSごとに開発されていました。
気になるアプリやサービスがあっても、持っている機種が対応していなくて諦めた経験を持つ人も少なくないでしょう。

Web3.0であれば、特定のOSに限定されることなく、アプリやサービスを利用できるようになる可能性があります。

利用者個人が管理できる

Web2.0までのインターネットでは、個人情報や行動履歴を巨大企業に管理されていました。

普段、個人情報や行動履歴を知られていると意識することはあまりないかもしれません。しかし、サービスを利用していておすすめの商品が紹介されたり、特定の商品やサービスの広告が頻繁に表示されたりする経験はないでしょうか。
私たちの生活や行動からわかる嗜好やパターンも個人情報として企業に収集されていることがわかります。
しかし、Web3.0になれば、個人の情報を企業のサーバーではなく、自分で管理できます。
つまり、一部の特定企業が個人情報を管理する時代ではなく、利用者が自らデータを管理、保有できる仕組みです。

セキュリティレベルの向上

Web3.0で使用されているブロックチェーンでは、取引情報を暗号化して共有する仕組みです。
そのため、ブロックチェーンの参加者にトラブルがあったとしてもブロックチェーン全体には影響しません。

一方で、特定の企業に個人情報が集まっているWeb2.0までの中央集権型ネットワークでは、そのサーバーがハッキングされたり攻撃されたりすると、大量の個人情報が流出してしまうリスクがあります。
Web3.0の分散型ネットワークでは、取引情報が暗号化されて複数ユーザーで共有されます。
そのため、不正アクセスや改ざんが行われにくく、セキュリティレベルの向上が期待できるでしょう。

ユーザー同士が直接取り引きできる

分散型インターネットでは、それぞれのユーザーが独立してコミュニケーションを取ります。
Web3.0のネットワーク接続には、サーバーの仲介も不要になるため、企業と個人でも直接取引きが可能です。

私たちは日常の多くの物やサービスを、仲介業者を介して取り引きしており、例えば、お金を管理して手数料を受け取る銀行もそのひとつです。
Web3.0では、中央管理者や仲介業者がいないため、手数料もかかりません。
その考えで生まれたのが、DeFi(ディーファイ)です。
DeFiは、中央管理者を置かない分散型金融を意味し、Decentralized Finance(ディセントラライズド・ファイナンス)の略称です。
ブロックチェーン技術を使った金融仲介アプリケーションで、取引きがブロックチェーン上に記録されます。

ユーザー同士が直接取引するため、不要な仲介手数料はかかりません。また、地域に左右されずに利用可能で、銀行口座を持たない人でも使用可能です。

Web3.0が抱える課題


Web3.0が普及することによって、世界全体の取引きやビジネスのあり方も変わります。
中央集権型のWeb2.0より魅力的な面が多く感じられるかもしれませんが、Web3.0には解決しなければならない課題も残されています。
どのような課題があるのかを、以下に紹介します。

利用するために知識が必要

Web3.0は、話題となることも増えて徐々に知名度も上がってきていますが、利用するためには一定の知識が求められます。
例えば、サービスを利用するための代金は、仮想通貨が使用されます。
仮想通貨の概念を知らない人にとって、仮想通貨を購入して取引きに使うことはややハードルが高いことは否めません。

特に、ITの知識が乏しい人にとって、Web3.0はまだ参入しにくいと考えられます。
今後、Web3.0の普及を推進するためには、IT知識がない人や初心者でも参入しやすいような仕組み作りが求められるでしょう。

スケーラビリティが課題

Web3.0では、ユーザー間でネットワークを構築して共有しています。
利用者が増加すれば取引きの負荷も大きくなるため、仕組み上、取引きに必要な時間も長くなってしまいます。

現在、スケーラビリティ(システムの変化に対応できる度合い)の問題を解決するために様々な対応が検討されています。
具体的には、記録するデータを必要な物だけに絞ることで負荷を減少させるなどの取組みです。

Web3.0の活用事例を紹介


Web3.0はまだまだ発展途上ですが、すでにWeb3.0を活用したサービスがいくつも生まれています。
以下に、代表的なサービスを紹介します。

Brave

「Brave(ブレイブ)」は、Web3.0時代の検索ブラウザです。
現在も多くの人が「Google」や「Yahoo!」などの検索エンジンを使用していますが、「Brave」は次世代分散型ブラウザで、個人データを収集するような広告をブロックします。

今までの検索エンジンでは、検索履歴や閲覧履歴からニーズや属性を読み取り、サイトやSNSに広告を掲載していました。
しかし、広告があることで読込みが遅くなったり、興味がない商品をすすめられたりと、わずらわしく感じる人も決して少なくないはずです。
「Brave」であればデフォルトの状態で、すべてのサイトでオンラインの追跡を遮断できます。

また、広告が表示されないため、プライバシーを保護して快適にインターネットを利用できます
さらに、「Brave」では、ユーザー自身の判断でプライベート広告を見ることも可能です。
広告の閲覧に同意する場合には、報酬として仮想通貨が支払われる仕組みになっています。

My Crypto Heroes

「My Crypto Heroes」(マイクリプトヒーローズ)は、NFTゲームアプリです。
日本初のブロックチェーンゲームで、「ゲームにかけた時間もお金も情熱も、あなたの資産となる世界」がキャッチフレーズです。
NFTとは、ブロックチェーン技術を使ったデジタルデータで、非代替性トークンとも呼ばれます。
「My Crypto Heroes」では、ゲーム内で購入できる武器やキャラクターはNFTを使って作られていて、自分の資産として保有可能です。
特定のサーバーを介しているわけではないので、もしもサービスが終了した場合でもアイテムは手元に残ります。

IPFS

「IPFS」は、データを分散管理するサービスです。
InterPlanetary File System(インタープラネタリー・ファイル・システム)の頭文字を取っています。
ユーザーは、コンテンツ識別子(CID)と呼ばれるIDを使って情報を要求、ネットワーク内のキャッシュから情報を取得します。
データは分散管理されているため、特定の管理者は不要です。

The Sandbox

The Sandboxは、ブロックチェーンを基盤にするNFTゲームです。定められた目的やクエストゴールはありません。
仮想の世界を自由に行動できるゲームです。
ユーザーは、水や砂などの資源や野生生物を組み合わせて自由自在に世界を構築します。
作成したキャラクターやアイテムなどの資産は、NFTとして販売することも可能です。

まとめ

Web3.0は、今のインターネットが抱えている課題を解決して、新しい社会や経済を創造する可能性もあります。
これからの次世代インターネットは、より急速に普及、浸透する可能性が高いと予想されます。
今後のサービス開発や投資の視野をWeb3.0にまで広げてみましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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